2015年1月28日水曜日

茶室でイノシシ

 京都地下鉄「鞍馬口」の駅近く、店ならぬ庵のような入り口には下足番のおじさんが丁寧に案内をしている。
畑かく
部屋に入ったら、座敷の真ん中に炉が掘ってあり、見事な塗り土鍋。
まるでお茶室だ。
どっかと胡座をかいて土鍋の蓋を開けて覗いたら白味噌スープ。
炭が灰に挿しこんである。
炭の断面が菊模様の「菊炭」
これはお茶を点てる時の炉と炭だ。省エネ、長時間炊ける。
やっぱりお茶室だ。

琵琶湖のモロコの佃煮風でビールをやっていると、中庭の向こう側の障子にお運びのお姐さんが小走りしているのが影絵のように映る。お姫様が急いでいるようだ。いいねえこういう雰囲気。
そこへ牡丹を盛りつけたようなイノシシの薄切りと野菜たっぷりの皿が来た。
牡丹鍋
すき焼きで鍋にどの順に肉野菜を入れるか揉めるが、牡丹鍋でどうするのか見ていたら、お姐さん最初に聖護院大根の大きな角切りを入れた。
そして野菜を入れ、蓋をして「しばらく煮ますから少しお待ち下さい」
肉は未だ入れない……
ビール2本目を飲み始めたら再びお姐さん来て、やっと肉を入れだした。
また蓋をした。
このお姐さん、忙しそうに廊下を行き来しているが、タイミングいい時にふらっと現れ、鍋を整えてくれる。
しばらくして、もういいんじゃないかな〜〜〜と思ったら、お姉さんやっぱり現れ「出来ました」
ここのイノシシは全てフレッシュなので、冬場しかこの「ボタン鍋コース」はやらない。
肉は適度に締まり、濃い風味。
聖護院大根の角切りと他の野菜類も魅力的に煮上がっている。
これは美味い!! すごいねこの鍋!
 ずいぶん量があるように見えたが、きれいにさらい、この残りのスープをどうするのかと思ったら、お姐さんまたもやタイミングよく現れ、京都風丸餅を入れた。
京風丸餅雑煮、ご飯にお新香、そして残りのご飯にスープを入れてお茶漬け風にサラサラ。
ああ、最高だったな!
 鴨居をふと見たら不思議な書があり、どう読むのか……

気は長く、心を丸く、腹を立てず、己を小さく、人を立てよ

なるほど、品の良いユーモアで、叱られているようだ。
すっかり満足して帰りがてら、未だ残り火がある炭をどうするのか聞いたら「熾火にして、明日の付け火にします」
益々省エネ。
牡丹鍋は3月末までで「ぜひ早めに予約を」

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